仕事上イスラム教の方々、文化に触れる機会が多くあります。
私たちはお互いの国情や文化を知ることでコミュニケーションを深めていけたらと考えております。
現在東京京橋LIXILギャラリーでは「タイルが伝える物語―図像の謎解き―」展が開催されています(~2/21)
元々常滑にあるINAXの世界のタイル博物館で開催されたものの巡回展です。
西洋、中国、イスラムのタイルを紹介しつつその背景に迫る興味深いもので、装飾に限らず絵画のように描いたタイル画の存在をまとめています。
ここではイスラムのタイルに絞りご紹介します。
上写真の組絵タイルはかつてとあるNPOが所有していたもので、「野宴図」とあります。
サファーヴィー朝(1501-1736)の宮殿にはこのようなコーランやシャーナーメ(王書)、また物語を題材にした多くのタイル画が飾られていたそうです。
ペルシャ文学の第一人者である岡田恵美子先生のご講演でもお聞きしましたが
この王朝はイラン西北部アゼルバイジャン地方で勢力をふるい建築や絵画、芸術はむしろ奨励し、多くの物が作られたそうです。
なんとガラスにはめ込んで衝立として使われていたそうです。よく見るとガラスがまだ残っているのが見えます。
この美しい美男が美女にお酒(酔わないものだそうです)をふるまっている図はコーランの一節だそうです。
信仰篤き者が天国(楽園)に行くと、男性には若く美しい女性が、女性には男性がこのようにもてなしてくれるとあるそうです。
ふくよかな顔立ち、繊細な線で描かれた美しい上品な作品です。
特に中央の女性の顔が白く塗り重ねてあり目を引きます。
ではこれらがサファーヴィー朝のタイルかというとタイルの生成からして断定できず、むしろその後のことのようです。
それは色つきの釉薬で描くのか、絵の上に透明な釉薬をかけてあるのかということになり
これは専門家にお任せした方がよさそうです。
こちらは「ホスローとシーリーン」を描いた組タイル絵です。
実在するサーサーン朝のホスロー2世(在位590-628)がアルメニアの王女シーリーンとの恋物語の一場面です。
イスラムらしいブルーの色と額縁のように描かれた草花の文様が美しい上に、印象的な場面のタイルです。
前妻を亡くしたホスロー2世、美しいシーリーンの噂を聞き宮殿(上部に描かれている)を出て探しに行く途中偶然水浴びをするシーリーンに出会います。
そしてその美しさに驚いているシーンです。
この口に指をあてるシーンはペルシャでは驚きを意味するそうです。よほどの美しさ??
イスラム版「ロミオとジュリエット」とも言われるそんな悲恋の始まりのシーンの組タイルは、多くの人を魅了しつづけています。
このお話の組絵タイルはまだいくつかNPOが所蔵しています。
是非ごとも展示会で一堂に並べて、多くの方にご覧いただきたいものです。
興味のある方は(株)クラウドナインまでお問い合わせください。
LIXIL ギャラリー 「タイルが伝える物語」2/21まで http://www1.lixil.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_002909.html
写真は撮影可とありましたので、ギャラリーで撮影しました。