みなさん、こんばんわ。株式会社クラウドナインの事務局です。
昨今本来の遊牧民を意味するNomadが外来語好きの日本に浸透し、根付きつつあります。
特定のオフィスを持たない働き方を言ってみたり、はてはスズキのSUV車の名前にまで登場し、少し違和感を感じるのは私だけでしょうか?
そもそも遊牧民は一か所に定住することなく、家畜の草を求め移動しながら生活しています。しかし闇雲に移動するのではなく夏冬での移動先は決まっているようです。らくだにすべての家財道具を乗せて、家畜を連れて移動する様はとても誇り高く見えます。
現にあちこちで目にする遊牧民の写真の女性は着飾って、これまた美しく飾ったらくだに乗って悠々と見えます。生まれながらの騎兵、アフガニスタンの礎も遊牧の民パシュトゥン人が築いたと言いますし、中央アジアの遊牧民は広く国家に関わる存在だったことがうかがえます。
その暮らしは無駄をそぎ落とした自給自足の簡素な生活で、羊を料理するにしても、血一滴も無駄にしないそうです。常に自然に感謝する気持ちに満ちています。絨毯キリム刺繍織物などの手仕事も決して無駄にしません。バローチの人たちの洋服はきれいな刺繍でできています。ほかの生地がぼろぼろになったら、その刺繍だけを残して大切にまた洋服に仕立てて使うそうです。自然のみならず物への感謝も忘れない遊牧民の人たちから学ぶことが多い昨今です。断捨離という言葉がはやる時点で物を大事にしない物だけ豊かになった時代を感じます。
先代のキリムを生き返らせた素晴らしいキリム
そんな折、このキリムの本質を見ました。
モチーフは木です。バローチに限らず木のモチーフは絨毯キリムでは多いところです。特に生命の木は祈祷用絨毯に多く見られる美しいデザインです。しかしこの木はなんとも可愛らしい木。低木地を遊牧する彼らにとって背の高い木は自然の象徴であり、長い時間をかけて空高く伸びる木は命そのものに見えたのでしょう。
先日出かけた秋田県角館。400年前の武家屋敷が並んでいました。
昔そのままの広い道路に並ぶ武家屋敷の庭、どこの庭の木が高くとりわけモミノキが多くみられ不思議だったところ理由は簡単でした。
木の成長が早くあっという間に大木になる・・・!!
木のように早く出世して大きな武士になる・・そんな気持ちを託した角館の木。
木に命を見るのは古今東西変わらぬようです。
その木がフィールドいっぱいに広がるキリム。なんかたるみがあってまっすぐではありません。引きつっているような歪みがあるような。あまり重要視していなかったキリム。
その本質を見られていませんでした。申し訳ない・・。
それは美しいフィールドの木の部分をリフォームしたキリムでした。
もともとあった中央部分に合うようにボーダーを作り、縫ってあったのです。
その少し大きな縫い目を見るたびに、大切に作り直した人の意図が伝わり胸が熱くなります。しかも中央に何かを置いていたような跡も見えます。
身近において大切に使っていたのでしょうね。
その本質を、物を大切にする心を受け継いでいきたいと強く思います。